新国立劇場が新たにオペラの名作『カルメン』を無料配信し始めました。この公演は、世界のオペラ愛好者を対象にした国際的な記念日「World Opera Day」にあわせて公開されたもので、視聴は2025年11月28日(フライデー)まで可能です。
この作品は、2021年に新国立劇場が制作したアレックス・オリエ版の『カルメン』であり、観客を唸らせる斬新な演出とともに、オリエ独自の素晴らしい視覚表現が特徴です。物語は、現代社会においても共感を呼ぶ内容であり、自由に生きる女性カルメンと、その独占欲に苦しむ男ホセの関係が描かれています。この演出では、コロナ禍を経た2021年の上演を受け、さらなるブラッシュアップが施されています。
公演では、前奏曲の活気にあふれて始まり、カルメンの魅力的な「ハバネラ」、誘惑の歌「セギディーリャ」、スペイン情緒豊かな「ジプシーの歌」など、名曲の数々が披露されています。ビゼーによる音楽は、フランス・ロマン派の魅力とスペインの民族的な情熱が見事に融合し、聴く人々の心を掴みます。特に、自由奔放なカルメンと一途なドン・ホセによる運命の物語には、多くの人々が引き込まれることでしょう。
このオペラの主なキャストには、強さと柔らかさを持つ美声で注目を集めるサマンサ・ハンキーがカルメン役、急成長中のブラジル人テノールアタラ・アヤンがドン・ホセを演じ、またエスカミーリョ役にはルーカス・ゴリンスキーが登場。彼らの歌唱は、美しいハーモニーを生み出し、舞台全体が華やかさに包まれます。
この機会にぜひ、自宅にいながら『カルメン』を楽しんでみてください。その視聴は無料であり、まさに今こそオペラの魅力を体験する絶好のチャンスです。配信は新国立劇場の公式ウェブサイトにて行われています。新国デジタルシアターでの鑑賞が可能なこの公演を通じて、オペラが持つ深い感動を味わいましょう。
さらに、新国立劇場についても触れておきます。1997年に開場した新国立劇場は、オペラ、バレエ、ダンス、演劇を中心に活動している唯一の国立劇場です。オペラ部門には世界的な指揮者大野和士が芸術監督を務めており、年間約10本のハイレベルなオペラが上演されています。また、次代を担うアーティストの育成も行っており、充実した研修プログラムを有しています。
近年は新型コロナウイルス感染症の影響で多くの公演が中止されましたが、新国立劇場はオンライン配信に取り組むことで、新たな観客との出会いを実現しました。新国デジタルシアターは、全国の観客に向けてお届けする新しい舞台芸術の鑑賞スタイルの一つです。このデジタルシアターを通じて、歴史あるオペラを新たな形で楽しむことができるのは嬉しい体験です。
新国立劇場の『カルメン』、この素晴らしい映像公演をお見逃しなく。