日本に響く『第九のきせき』の魅力
一般社団法人El Sistema Connectが主導するインクルーシブアートプロジェクト『第九のきせき』が、全国各地で開催されることが発表され、音楽と身体表現が融合した新たな芸術の形を示す機会となります。このプロジェクトは、2025年に福岡県久留米市を皮切りに始まり、長崎や徳島などで続く予定です。特に注目すべきは、音楽の枠を超え、視覚や触覚でも楽しむことを目的としたアプローチです。これにより、すべての人が音楽を楽しむことができる、真のインクルーシブ社会の実現を目指しています。
『第九のきせき』とは
『第九のきせき』は、ベートーヴェンの交響曲第9番「歓喜の歌」を舞台にしたアートプロジェクトです。このプロジェクトでは、手話を用いた「手歌」を通じて音楽を表現し、視覚的にも楽しむことのできる写真展を同時に開催します。声で音楽を奏でることが難しい方々でも、白い手袋を使って音楽と一体となることができます。この試みは、ベートーヴェンが提唱した「全ての人に音楽を」といった精神を具現化するものとなっており、音楽の平等性を再確認させてくれるものです。
スケジュールとプログラム
プロジェクトの第一弾は、2025年9月28日に久留米シティプラザでの開催が予定されています。この日は午後2時開演で、多くの市民が参加し、体感的な音楽の新しい形を楽しむ予定です。続いて、11月16日には長崎県での公演も控えており、12月7日には福岡市民ホールにて特別なコンサートが行われます。
特に、ホワイトハンドコーラスNIPPONの指導の下、参加者たちはそれぞれの持ち味を生かしてパフォーマンスに取り組むことが求められます。市民参加型のワークショップも行われ、1年以上にわたる準備を経て公演を迎えます。
写真展の意義
特筆すべきは、プロジェクトに併設される写真展です。写真家の田頭真理子が手掛けるこの展示は、音楽を視覚で体感する新しい契機を提供します。彼女のビジョンにより、手歌で表現されるベートーヴェンの「歓喜の歌」が具現化され、誰もがその意味を深く理解することが出来る機会が得られます。写真展は、音楽と身体が交わる場所で、視覚的に音楽のメッセージを伝える役割を果たします。
未来への希望
ホワイトハンドコーラスNIPPONの芸術監督、コロンえりか氏は、「耳の聞こえない方々と共に創り出す第九が、世界のスタンダードになれば」という願いを語っています。彼女は、多様なバックグラウンドを持つ人々が共に音楽を楽しむ意義を強調しています。このプロジェクトは、音楽を通じて社会の壁を越え、互いに理解し合う場を作り出す大きな一歩となるでしょう。
また、田頭真理子氏は「ベートーヴェンの音楽を、音だけでなく、身体や写真でも広めたい」と願っています。これにより、目に見える形で音楽が多くの人々に届くことを期待しています。
まとめ
『第九のきせき』は、音楽が持つ力と意義を再発見するチャンスです。多様な人々が参加し、共に作り上げる音楽の喜びを体感することができるこのプロジェクトは、今後のアートシーンにおける重要な潮流になるでしょう。公演の日を心待ちにしながら、音楽の力を改めて感じる旅に出かけましょう。