秋田に新しい福祉モデル「ルフラン」が始動
2025年11月、秋田県由利本荘市に新たな就労支援事業所「ルフラン」がオープンする。この事業所は、音楽や表現活動を通じて、働くことの喜びや生きがいを提供することを目指している。代表の佐久間玲奈氏は、過去に引きこもりを経験し、音楽を通じて社会復帰した自身の体験から、同じような境遇にある若者たちを支援しようと立ち上げた。
音楽による社会復帰の力
佐久間氏は、音楽活動が持つ強力な再生の力を実感しており、引きこもりから復帰するきっかけとなったのは、自立支援施設で出会った音楽団体「BRONZE道心」だった。2010年にはスイスのモントルー・ジャズ・フェスティバルに参加し、多くの人々と音楽を共有した経験が彼女を支えた。その後、彼女は介護福祉士、社会福祉士、公認心理師の資格を取得し、福祉の現場に従事。しかし、公的支援制度の内側では十分なサポートを受けられない人が多いことに気づく。
「仕事だけの支援では足りない」との思いから、本事業の設立に至った。
ルフランの特徴とプログラム
ルフランでは、引きこもりや生活困窮といった問題を抱える若者に寄り添うため、特別に設計された4つのプログラムを用意している。これにより、「働くこと」と「表現すること」の両面から支援することで、利用者の自己肯定感を育む。
1. 音楽・表現活動プログラム
利用者が演奏や創作を通じて自分を表現できる場を提供し、自己肯定感を高める。また、発表の場も設け、利用者同士のつながりを生む。
2. よろず便利屋サービス
地域の高齢者世帯を訪問し、生活支援を行うことで、地域との結びつきを深める。このプログラムを通じて、地域の一員としての意識を持つことができる。
3. ユニバーサル就労支援
個々の状況に応じて、徐々に地域企業での実習を行うことで、社会参加を無理なく促進する。
4. アウトリーチ支援
外出が困難な方に対しては、訪問やオンラインでの支援を行う仕組みを構築し、必要な支援を届ける。
ルフランでは、音楽が苦手な方でも地域での仕事を通じて参加できるチャンスを提供し、様々なニーズに対応できる柔軟な支援を実施。これは秋田県における人口減少や孤立の解決策として期待されている。
事業の実成果と展望
ルフランは、すでに音楽ワークショップで115名が参加し、70%が継続を希望するという反響があり、参加者からは「音楽で自分を表現できた」との嬉しい声も。また、200万円の助成金や社会起業塾との協働も決まっており、事業の持続可能性を高める取り組みが進行中だ。
社会へのメッセージ
「音楽には、人を社会へつなげる力があります。支援される側と支援する側が共に生きる地域の形成を目指し、秋田から新しい福祉の形を発信していきます。」佐久間氏の情熱が、地域にさらなる希望をもたらすことを願う。
事業所「ルフラン」については、公式サイト(
https://hamonicsrufuran.wixsite.com/site)で詳しい情報を確認できる。私たちも、この新しい挑戦に注目し続けたい。