日本の音楽プロジェクトがイタリアに挑む
日本発の文化共創プロジェクト『Earth ∞ Pieces(アース・ピースィーズ)』が、新たなステージに挑戦します。このプロジェクトは、2026年に開催される冬季パラリンピックの公式文化プログラムに認定され、来年の春にはイタリア・ミラノのTeatro dal Vermeで上演されることが決まりました。特に注目すべきは、この公演に120名の障害を持つ音楽家が参加する点です。
プロジェクトの背景と目的
『Earth ∞ Pieces』は、障害、世代、音楽経験の有無を超えて、誰もが参加できる合奏を目指しています。音楽監督として蓮沼執太を迎え、ベートーヴェンの《喜びの歌(第九)》をモチーフとするこの音楽会は、参加者全員が対等に合奏を楽しむことができる新しい形態を提案しています。このプロジェクトは、多様性と調和の未来を象徴する音楽の力を証明しました。特に、2024年3月に横浜で開催されたワールドプレミアでは、多様な背景を持つ28名の参加者が集まり、ひとつの合奏を完成させ多くの反響を呼びました。
ミラノ公演の概要
第2章となるミラノ公演では、協同組合型音楽学校「AllegroModerato(アレグロ・モデラート)」が中心となり、イタリアを含む世界中から募集したプレイヤーが参加します。この公演は、音楽の街ミラノにおける歴史的な文化拠点で開催されます。
Teatro dal Vermeの役割
公演が行われるTeatro dal Vermeは、約1,400席を備えた歴史的劇場です。かつて多くの著名な作品が上演されており、音楽と文化の中心的な場所とされています。日本発のアートプロジェクトがこの雰囲気の中で展開されることは、意義深い試みとなります。
特別講義の開催
このミラノ公演の決定を記念して、12月5日には東京文化会館にて特別講義が行われます。この講義では、アレグロ・モデラートのディレクター、ルカ・バルダン氏とプロジェクトの発案者、栗栖良依がそれぞれの経験を基に、音楽による社会共創の重要性とアプローチを共有します。この講義は、インクルーシブな文化活動に興味のある音楽のプロフェッショナルに向けて行われ、事前申込が必要です。
音楽による未来の創造
『Earth ∞ Pieces』は「文化は共創の場であるべき」という理念を体現しており、音楽を通じて多くの人々がつながる社会を目指しています。この新たな挑戦に対する期待とその後の成長は、多くの人々の心に響くことでしょう。ミラノでの公演は、多様性を受け入れ、共存を促進する音楽の力を再認識させる重要な一歩です。音楽だけでなく、文化全体がこれからも進化し続けることを願っています。
詳細はスローレーベルの公式サイトで発表される予定です。引き続き、このプロジェクトに注目していきたいと思います。