音楽の魔法、ゼルダの伝説を理解する
株式会社ディスクユニオンのDU BOOKSから、2025年2月21日に新たに発売される書籍『ゼルダの伝説と音楽 「時のオカリナ」から学ぶゲームサウンド』は、ゲーム音楽の領域で特に注目される一冊です。著者ティム・サマーズ氏がこの本を通じて、名作『時のオカリナ』の音楽を徹底分析し、その魅力と構造を潜り抜けることを目指しています。
ゼルダの音楽を聴く
ゼルダシリーズの主人公リンクが奏でるオカリナの旋律や、ダンジョンで繰り広げられるBGM、アイテム獲得の瞬間やメニュー画面の効果音など、ゲーム内の音楽は実に多岐にわたります。この新刊では、すべての楽曲がどのように構成され、プレイヤーに何を伝えようとしているのか、各楽曲の役割を詳細に掘り下げています。音楽はただBGMとして流れるだけではなく、ゲームの進行や演出といった要素と密接に絡み合い、プレイヤーの体験を一層深めています。
音楽構造の分析
また、本書は『時のオカリナ』の音楽を構造的に理解するための手助けを提供しています。各楽曲がゲームの進行とどのように関係しているのか、どのようにプレイヤーの感情に影響を与えるのかを知ることができる内容になっています。音楽が物語やキャラクターの表現に与える影響は計り知れず、サウンドトラックを通じて、物語の深い理解が可能となるでしょう。
常識破りの作曲術
著者は特に、ゲーム音楽の作曲家である近藤浩治氏の作曲スタイルにも焦点を当てています。彼の作品には古今東西の音楽ジャンルが取り入れられながらも、伝統に縛られない独自のアプローチが存在します。この点も、本書の大きな魅力の一つです。近藤氏の“常識破り”の作曲術を知ることで、音楽に新たな視点を得ることができるかもしれません。
魅力的な図版
さらに、書籍には約110点もの図版が掲載されており、プレイ画面のスクリーンショットや楽譜、音の波形など、視覚的にも楽しむことができます。音楽だけでなく、視覚面からもゲームの深みを味わうことができるでしょう。これは、視覚的な理解が音楽の解明にどのように寄与するかを示す良い例です。
書誌情報
この本は、A5サイズで376ページとなるボリュームのある内容で、定価は3,400円(税別)です。著者のティム・サマーズ氏は、ロンドン大学ロイヤル・ホロウェイ校で音楽を教えている専門家。彼はゲーム音楽の理解を深めるために多くの研究を行っており、本書もその集大成として位置付けられています。
また、訳者の小川公貴氏はエンターテイメント系の翻訳を手掛けるプロフェッショナルで、ゲーム分野においても幅広い経験を有しています。
まとめると、『ゼルダの伝説と音楽』はゼルダファンのみならず、ゲーム音楽に興味を持つ全ての人にとって、貴重な資料となることでしょう。音楽の理解を深め、ゲームをさらに楽しむための一助として、手に取る価値がある一冊です。