日本の音楽シーンにおける特異な存在感を持つ奥田民生と吉川晃司が2025年の秋、共に結成したユニットOoochie Koochie。彼らの初の全国ツアーの締めくくりとなった公演が9月11日と12日に行われた日本武道館で、多くのファンの期待を一身に受けて幕を開けました。
二人は1965年に広島で生まれ育ち、長い間接点がなかったにもかかわらず、近年各地の音楽フェスで再会を果たし、少しずつ関係を深めていきました。そんな中、還暦を迎えるにあたって生まれたのが、この奇跡のユニット。合体の発表と共に、話題のシングルやアルバムを次々とリリースし、広島を皮切りにした全国ツアーは多くの人々の心を捉えました。
武道館のステージに立つと、場内は瞬時に盛り上がり、観客の熱気が満ちあふれます。定刻を過ぎて灯りが消えると、拍手喝采の音が鳴り響き、奥田と吉川がギターを持って現れると、オープニングナンバー「おちこち」が始まりました。エッジの効いたサウンドが観客を刺激し、70年代のハードロックを彷彿とさせる「Do The Shuffle」では、二人のユニゾンが心を震わせます。
続いて、サンフレッチェ広島への思いを込めた「Three Arrows」では、広島だけでなく日本全体へのメッセージが込められました。眼前に広がるミラーボールが彼らを鮮やかに照らし出し、色とりどりのスパンコールのジャケットに身を包む奥田と吉川は、まるでディスコのスターのよう。
「GOLD」では、踊りながらハンドマイクで歌う奥田とバッキングに徹する吉川のコンビネーションも抜群です。続く「片恋ハニー」では、二人の個性的な音楽性が融合し、聴衆に心地よいフレーバーを届けました。
その後は、奥田のハイトーンが響く「Dancing Queen」や、吉川のスモーキーな声が印象的な「Let’s Dance」と続く中、復活した宿命的な楽曲の交換が行われました。奥田が吉川の「LA VIE EN ROSE」を歌い、吉川は奥田の「Maybe Blue」を熱唱する場面は、互いの音楽に新たな息吹を与え、聴衆はその魅力に引き込まれていきます。
さらに、奥田と吉川それぞれの代表曲を交互に披露する中で、メッセージ性の強い「リトルボーイズ」も素晴らしいパフォーマンスを見せつけました。
アンコールでは、奥田が自身の名曲「さすらい」を吉川が歌い上げる一方、吉川のヒット曲「Juicy Jungle」を奥田が披露し、熱気はさらに高まります。このようにして、特別な一夜が感動的なフィナーレを迎えました。
ユニット名Ooochie Koochieの意味は深い。彼らは昔と今をつなぎ、未来への道筋を描いている。そして今回の活動が年内で一旦幕を下ろすことになっても、二人の冒険は続くことでしょう。彼らのロック・スピリットは、老若男女を魅了し続けるに違いありません。