音楽とアートが融合する新たな体験：evalaの受賞と展示開催

NTT ICCが開催するevalaの新作展示

音楽家でありサウンドアーティストのevala（エヴァラ）が、アルス・エレクトロニカ賞2025の冨田勲特別賞を受賞したことが明らかになりました。この受賞は、2024年12月からNTTインターコミュニケーションセンター（ICC）で開催される企画展「evala現われる場消滅する像」のために制作された新作インスタレーション《ebb tide》に対して与えられたものです。

アルス・エレクトロニカ賞について

アルス・エレクトロニカ賞は、世界で最も権威のあるメディアアートのコンペティションとして知られています。特に冨田勲特別賞は、故・冨田勲のクリエイティブな精神を称えるもので、デジタル・ミュージックやサウンドアートの領域での革新性が求められます。evalaは、日本人アーティストとしてこの名誉を受けた3人目となり、その創造性が世界的に評価されています。

再展示の詳細

受賞を記念し、ICCでは過去にevalaが制作した《大きな耳をもったキツネ》や《Our Muse》が再展示される予定です。この展示は、2025年8月8日から9月15日まで行われ、来場者は音の吸収に特化した無響室で独自の聴覚体験を味わうことができます。具体的な予約方法や詳細はICCのウェブサイトで案内されます。

作品《ebb tide》の特徴

《ebb tide》は、波打つ形状の構造体を提供し、体験者はその上で自由に体勢を変えながら作品を鑑賞できます。このインスタレーションは、evala自身の記憶や私的な場所の環境音を基に構成され、感覚的な体験へと導くことを意図しています。タイトルの「引き潮」は、人生のサイクルと関連し、死をテーマにしたレクイエムでもあります。観客は、音に身を委ねながら、心象風景が広がるのを感じることでしょう。

evalaのアーティストとしての経歴

evalaは、音響システムを駆使した独自の作品を国内外で発表し、特に「See by Your Ears」というプロジェクトを通じて新たな聴覚体験を創出しています。彼は既存のフォーマットを超え、さまざまな場所でインスタレーションを行い、幅広い表現を追求しています。近年、充実した活動が続いており、2020年には音だけの映画を世界初上映しました。

今後の期待

evalaの新作《ebb tide》とそれに続く再展示は、聴覚の限界を探る意義ある試みであり、アートと音楽の新しい出会いを形成するものです。この作品が受賞したことにより、日本のアートコミュニティにどのような影響を与えるのか、今後の展開にも注目が集まります。受賞記念展示は、音の反響がない空間での特異な体験を提供しますが、来場者には事前予約と一定の条件が求められるため、事前に確認してから訪れることをお勧めします。