ヤマハとピティナ、ピアノ演奏の新たな科学的アプローチを開始

ヤマハと全日本ピアノ指導者協会、革新的な演奏計測の共同研究開始

ヤマハ株式会社は、全日本ピアノ指導者協会（ピティナ）と協力し、2023年11月より新たなピアノ演奏計測の共同研究を開始しました。この研究は、演奏技術の向上とピアノ教育の新たな可能性を追求することを目的としています。

研究の背景

近年、ピアノ教育現場では、演奏の過程を可視化し、科学的なアプローチに依存するニーズが高まっています。生徒がどのように演奏を仕上げていくのかを明確に理解し、客観的なデータに基づいて効果的な練習を行うことが求められています。しかし、音のデータや演奏に関する情報を高精度で収集・分析するためには、高度な専門性を必要とするシステムが必要であり、単独の教育機関内での実現は難しい状況でした。

このような背景を踏まえ、ピティナが蓄積してきたピアノ教育に関する膨大な知見と演奏データを活かし、ヤマハが誇る高精度な演奏データ計測システムと組み合わせることで、多角的な演奏データによる音楽教育研究を進めることとなりました。

それぞれの役割

ピティナの役割

ピティナは、ピアノ指導や継続学習に関する知見、そしてピアノコンペティションで蓄積された演奏データの提供を行います。また、ピティナ会員に演奏データ計測システムを利用してもらうことによって、実際の演奏データを蓄積していきます。

ヤマハの役割

一方ヤマハは、自社の自動演奏機能を搭載した「Disklavier™」を用いて、鍵盤のタッチやハンマーの動き、ペダリング、タイミングといった高精度なデータを計測・収録します。これに加え、マルチアングルカメラを使用して演奏映像データを収集し、演奏中の各種データを詳細に計測します。

連携の概要

この共同研究では、ピティナに在籍するピアニストの協力を得ながら、ヤマハの「Disklavier™」の自動演奏機能を利用し、MIDIデータに加え、鍵盤やハンマーの動作をデータとして記録します。また、演奏過程の映像データとMIDIデータを組み合わせることで、演奏動作を詳細に記録・分析し、演奏科学研究の促進を図ることを目指しています。取得したデータは、両者で確認しながら研究コミュニティに公開し、演奏者や指導者にとってより効果的なレッスン方法の発見を追求します。

ヤマハの演奏計測技術

ヤマハは、演奏動作を深く理解するために、さまざまなデータを記録し分析する取り組みを進めています。このシステムでは、「人がどのようにして音を出すか」という一連のプロセスを多様な視点から記録、分析します。収録されたデータを高精度に同期して再生することで、演奏者が人の動きが音に変換される過程を視覚的に理解し、教育や研究に役立つ新たな気づきを得ることが期待されます。

「Disklavier™」には音声データの収録や運指動作の計測機能が特色で、音楽学習者にとっても大きな価値を提供します。

ピティナについて

ピティナは、1966年に設立され、現在では全国で多くのピアノ指導者を育成する組織として知られており、継続的な学習を支援する事業や、ピアノコンペティションなどを行っています。

この共同研究は、演奏技術の向上だけでなく、より豊かな音楽教育の実現に向けた大きな一歩として、多くの関係者から注目されています。今後の研究成果に期待が高まります。