音場支援システム『AFC Enhance』、令和7年度発明賞受賞
ヤマハ株式会社が開発した音場支援システム『AFC Enhance™』が、令和7年度の全国発明表彰で発明賞を受賞しました。この表彰は、毎年、公益社団法人発明協会によって行われるもので、日本の科学技術や産業の発展に貢献した発明や考案を称える目的があります。
受賞の背景とシステムの革新性
『AFC Enhance』は、音響設備を用いて空間の響きを自在に制御する技術です。多目的ホールなどでは、演奏や講演の内容、さらには音楽のジャンルによって求められる響きが異なります。これまでの音響設備では、物理的な装置を用いたり、従来型の設備では人工的な響きになってしまうなどの課題が存在しました。そこで、ヤマハはより柔軟で自然な響きを提供できる音場支援システムを開発しました。
この技術は、初期反射音(ER)と残響音(REV)をそれぞれ独立して制御するシステムで構成されています。初期反射音は、聴衆に最初に届く音で、響きの印象を決定づける重要な要素です。一方、残響音は空間の長さや広がりを与えるための要素であり、聴取者に豊かな音響体験を提供します。
システムの仕組み
『AFC Enhance』では、指向性マイクを使用して直接音を収音し、初期反射音を合成します。この音は、客席を囲むように配置されたスピーカーから出力されます。また、全指向性マイクから収音した信号に対しては、響きの長さに寄与する反射音が合成され、天井に配置されたスピーカーから会場全体に響き渡ります。さらに、音響フィードバックを利用することで、響きを自然に延長し、理想的な音空間を実現します。
この技術は、既に世界中の200以上の施設で採用されており、複数のアンプやスピーカーが新規導入されています。このことは、音響機器業界に活気を生み出し、施設の利用可能性をも広げています。『AFC Enhance』によって、より多くの人々が素晴らしい音楽体験を楽しむことができ、音楽文化がさらなる発展を遂げることに寄与しています。
過去の受賞歴と展望
ヤマハはこれまでも数多くの特許を取得し、全国発明表彰での受賞歴があります。例えば、昭和54年にはテーパー管の製造方法、平成の時代にも電子楽器の意匠や技術革新により複数の賞を受けています。『AFC Enhance』の受賞は、ヤマハが引き続き音響技術の最前線を走り、未来の音楽体験を形作るパイオニアとしての地位を確立する一助となるでしょう。
まとめ
音場支援システム『AFC Enhance』の発明賞受賞により、ヤマハは音楽の未来をより豊かにする技術を提供し続けます。この技術を通じて、さまざまな音楽体験が可能になり、音楽文化の普及と発展への新たな道を切り開いていくことでしょう。今後の活動にも期待が寄せられています。ぜひ一度、ヤマハの『AFC』製品の公式サイトを訪れて、その革新性を体験してみてはいかがでしょうか。