デヴィッド・ボウイの遺作ミュージカル『LAZARUS』日本初演を語る

デヴィッド・ボウイの遺作ミュージカル『LAZARUS』日本初演記念ライブが注目を集める

伝説のロックスター、デヴィッド・ボウイの最後の傑作であるミュージカル『LAZARUS（ラザルス）』がついに日本で初演を迎えます。この作品は、ボウイと現代演劇のエンダ・ウォルシュがタッグを組み、1976年の映画『地球に落ちて来た男』からインスパイアを受けて制作されました。物語は、地球に取り残された宇宙人トーマス・ニュートンが、運命を模索するストーリーで、出会う謎の少女との交流が描かれています。

公演は、2025年の5月31日から6月14日まで神奈川のKAAT神奈川芸術劇場で行われます。演出は、ボウイの作品の翻訳上演を数多く手掛けてきた白井晃が担当し、主演にはボウイに影響を受けた松岡充が選ばれています。共演には豊原江理佳や、その他のキャストも多彩に揃っており、期待が高まります。

楽曲鑑賞会のレポート

日本初演を祝うため、5月14日に行われた「デヴィッド・ボウイ『楽曲鑑賞会』スーパー・オーディオ・ライブ」では、観客50名がボウイの音楽が持つ深さを体験しました。このイベントでは、音楽評論家の立川直樹氏がボウイの作品にまつわるバックグラウンドや、楽曲が与えた影響を語りながら、最高級のオーディオシステムでボウイの楽曲を楽しみました。

立川氏は、「『Lazarus』は音楽劇としての側面が強い」と述べ、ボウイの偉大さを感じてもらうべく、素晴らしいサウンドで楽曲を披露しました。まずリスニングのスタートとして選ばれたのは「Lazarus」。この楽曲は、ボウイの最後の時期に多味な世界観で作られたもので、彼の死を前提にした作品であることが強調されました。

次に1969年の「Space Oddity」、ボウイが宇宙というテーマを斬新に扱ったことに触れられ、続いて『ジギー・スターダスト』についてのエピソードが語られました。この作品はボウイの名声を築くきっかけとなりましたが、ミュージカルでは使われていないものの、人気曲「Starman」が再生され、その魅力が伝わりました。

立川氏は、ボウイのスタイルがどのように変遷していったのかを解説し、「アラジン・セイン」からの「タイム」という楽曲をも聞かせることで、ボウイの音楽的進化を感じさせました。最後には、「ブラックスター」の制作背景や「ヒーローズ」からの影響についても触れ、ボウイの音楽が持つ普遍性を感じる時間となりました。

日本初演への期待

立川氏はイベントを締めるにあたり、ボウイが残した音楽劇『LAZARUS』についての期待を語り、「字幕もあり、芝居部分は日本語なので分かりやすい」と述べました。観客もこの感動的な音楽劇をぜひ楽しんでもらいたいと強調し、興奮が高まります。

デヴィッド・ボウイのミュージカル『LAZARUS』は、音楽と演劇の融合を具現化した作品として、日本の観客にどのような感動を与えるのか、初日までの2週間が待ち遠しい限りです。ボウイの作品が描く独自の世界観に触れ、多くの人々がこの壮大な音楽体験をすることを願っています。