被爆ピアノの音色に想いを込めた平和への祈り
2023年10月13日、茨城県土浦市のクラフトシビックホールで、「おかあさんの被爆ピアノ」の上映と被爆ピアノの演奏会が行われました。このイベントは、生活協同組合パルシステム茨城 栃木が主催し、子どもたちが被爆ピアノの音色に合わせて平和への願いを込めて歌う貴重な機会となりました。423人の参加者が集まったこの日、被爆ピアノの持つ歴史と、その音色に込められたメッセージを心に刻む一日となりました。
被爆ピアノの響き
被爆ピアノは、1945年に広島に投下された原爆の爆風を受けたピアノです。このピアノは多くの傷を持ちながら、矢川光則さんによって修復され、今もなお平和の象徴として音楽を奏でています。その音色は、過去の悲劇を繰り返さないための祈りを込めているのです。演奏会では、土浦市立土浦第二小学校の合唱団、38人の子どもたちが「気球に乗ってどこまでも」や「青い空は」など、7曲を披露しました。
子どもたちは、「世界中の平和を願って歌います」と宣言し、演奏に臨みました。彼らの声は、被爆ピアノの音色と見事に調和し、聴衆を魅了しました。特に「青い空は」は、原水爆禁止条約採択を記念して作られた曲で、子どもたちはその意義を理解し、核兵器廃絶への思いを込めて歌いました。
子どもたちの思い
演奏の合間には、子どもたちが自身の平和への思いを語りました。「原爆の怖さを知り、絶対に戦争はしない強い気持ちが大切です」「幸せに歌えている今の自分を感謝し、周りに伝えていきたい」といった言葉からは、彼らが心から平和を願っていることが伝わってきました。
演奏会では、「樹形図」や「いのちの歌」を通じて、平和の重要性や人を思いやる心を強く表現しました。聴衆は、彼らの純粋な歌声に感動し、平和を考えるきっかけを与えられたことでしょう。
映画「おかあさんの被爆ピアノ」
続いて上映された映画「おかあさんの被爆ピアノ」は、矢川光則さんの活動を描いた感動的な作品です。矢川さんは10年にわたり被爆者の声を聞き取り、その経験をもとにこの映画を制作しました。2020年の公開以降、全国で上映され続け、特に英語版がアメリカの映画祭で平和賞を受賞するなど、高い評価を得ています。
この映画は、被爆ピアノを使って平和のメッセージを広めるために矢川さんが行ってきた全国巡回コンサートの背景を物語っています。彼は自身も被爆2世として、全国で3,000回以上の演奏会を行い、平和のメッセージを伝えてきました。今回の演奏会も、その活動の一環として位置づけられています。
未来に向けたメッセージ
パルシステム茨城 栃木は、心豊かな暮らしを支えるために、今後も平和の大切さを訴える活動を続けていくとしています。会場では、参加者から平和のメッセージを募り、合計87枚のメッセージが集まりました。これらのメッセージは、未来に向けた大切な思考の一環であり、子どもたちが学び、考える糧ともなるでしょう。
演奏の最後には、駒野将崇さんによる独奏があり、「羊は安らかに草を食み」などの平和をテーマにした曲が演奏され、会場を感動の渦に包みました。
このように、被爆ピアノの音色を通じた平和のメッセージは、今後も多くの人々に届き続けることでしょう。子どもたちと共に、その思いを未来に繋いでいくことが何より重要です。