19世紀のファンサービスの魅力を探る新刊が登場！

19世紀のファン文化に迫る一冊

音楽の歴史におけるファン文化を掘り下げた新たな書籍が、2025年11月27日に河出新書から発売されます。著者は、昨年話題となった『ベートーヴェン捏造』の著者、かげはら史帆さん。新刊のタイトルは『ピアニストは「ファンサ」の原点かスターとファンの誕生史』です。この本では、19世紀のクラシック音楽界を起点に、ファンとスターの関係について詳しく探求されています。

「ファンサ」の起源

本書の冒頭は1842年にベルリンで開催されたフランツ・リストのリサイタルに言及しています。リストはその技巧によって聴衆を魅了し、特異な自己プロデュース力を発揮したことで、彼の周囲には熱心なファンが集まりました。彼に向けられるファンの熱狂は、単なる音楽への愛の表現以上のものでした。リストは、ファンの期待に応えるべく、そのパフォーマンスや私生活においても新たな“スター”像を創出していったのです。

スターとファンの誕生

かげはらさんの著作では、リストの音楽に対する姿勢や、ファンとの相互作用がどのように関係性を構築していったか、その過程を詳細に描写しています。また、音楽だけでなく、バレエやスポーツ、文芸など、多様な文化領域においてファンがどのように生まれ、発展してきたのかについても考察がなされます。その分析は、19世紀という特異な時代背景の中で成り立ったファン文化の深淵を探るものとなっています。

本の構成

この新刊は、以下のセクションで構成されています。
Ⅰ スターとファンと公衆──彼らはいつ現れたのか
Ⅱ なぜピアニストはスターになりえたか
Ⅲ リスト・ファンとは誰だったのか
Ⅳ ファンたちの功罪
Ⅴ 聴衆とファンの正しさをめぐって
これらの章を通じて、かげはらさんは19世紀のファン文化を多角的な視点で掘り下げ、現代に通じるファンとスターの関係性を浮き彫りにしています。

著者について

かげはら史帆さんは東京都郊外で生まれ、法政大学文学部を卒業後、一橋大学大学院で修士課程を修了しました。これまでに『ベートーヴェン捏造』や『ベートーヴェンの愛弟子フェルディナント・リースの数奇なる運命』など、クラシック音楽に関連する書籍を多く執筆してきました。今回の新刊では、彼の豊富な知識と独自の視点が存分に活かされています。

最後に

新刊『ピアニストは「ファンサ」の原点かスターとファンの誕生史』は、クラシック音楽ファンだけでなく、文化全般に興味を持つ方々にもお勧めの一冊です。ぜひご注目いただき、19世紀のファン文化の魅力を再確認してみてはいかがでしょうか。書籍は税込1,100円で、2025年11月27日に発売予定です。電子書籍版も同日にリリースされますので、こちらも要チェックです。詳細はここをクリック。