音が奏でる布を使った次世代ファッションの挑戦と成果
2026年3月10日、東京・新宿国際ファッション専門職大学のコクーンタワーにて、「ファブリックスピーカー」を活用したファッション関連プロダクトの成果発表会が行われました。この技術は、国立研究開発法人産業技術総合研究所(産総研)によって開発されたもので、音を出す布を利用し、学生たちが自由な発想でファッションやインテリアの試作品を考案しました。
本プロジェクトは、2025年4月に始動し、産総研との共同研究を通じて行われています。薄く、柔らかく、布地と同じ感触を持つ「ファブリックスピーカー」を利用し、学生たちはポスト・デザイン思考のPBL(課題解決型学習)を活用。多様なファッションアイテムの制作に取り組みました。
提案された試作品の紹介
発表会では、日本を代表するストリートファッションブランド「HYSTERIC GLAMOUR」とのコラボレーションを含む大規模な制作が行われ、その中で特に注目を浴びた三つのプロジェクトに焦点が当てられました。
1. 音が出るカーテン「ソナリア」
「ソナリア」は、サンゲツや槌屋、槌屋ティスコなどとの協力により開発された、音の出るカーテンです。特に目を引くのは、音響機材を使わずとも、空間の演出を可能にする点。デザインテーマは「竹林」で、リアルな竹のグラフィックが施されています。竹の背面にはスピーカーが内蔵されており、その音楽は、和の情景を引き立てるもので、旅館などの空間演出に最適です。
2. 「星を聴くマット」
次に紹介されたのは「星を聴くマット」。忙しい現代人に向けて、日常生活の中で自然や宇宙とのつながりを感じることを目的とした製品です。リラックスした時間や瞑想、音楽を楽しむ際に使用できるこのマットは、米沢織の手織り技術が活かされており、柔らかな肌触りと耐久性を兼ね備えています。
3. ノイズキャンセリング帽子「HSPノイズキャンセリングパイロットキャップ」
最後に発表された「HSPノイズキャンセリングパイロットキャップ」は、「HYSTERIC GLAMOUR」の素材を使い、外部の音をコントロールできる帽子です。特に、外部刺激に敏感なHSP(ハイリー・センシティブ・パーソン)を意識して設計されており、日常の騒音を軽減しつつ、ファッションアイテムとしても好くなるよう工夫されています。
北村信彦氏の登壇と技術の重要性
発表会では、ブランド「HYSTERIC GLAMOUR」を手がける北村信彦氏が参加し、自らのビジョンを語りました。制作された試作品には、スピーカー内蔵のフライトキャップやトートバッグ、音楽を流せるぬいぐるみなどが含まれ、視覚だけでなく聴覚にも訴える新しいアイテムが披露されました。
北村氏は、音楽が生活の一部である自身の体験をもとに、音とファッションの融合の重要性を強調しました。「現代ではAIに依存する場面が多いが、アナログな部分と新技術の融合が生む面白さが重要」と語ります。
音が奏でる未来のファッション
今回のプロジェクトは、ただの結果発表にとどまらず、ファッションの新しい可能性を切り開くものです。2025年から始まり、理論と実践を融合させて進められたこの取り組みは、音と空間を再構築する未来のファッションのあり方を示唆しています。
今後、この「ファブリックスピーカー」により、ファッションだけでなくインテリアや体験デザインがどう進化していくのか、広範な展開が待たれます。国際ファッション専門職大学の教育プログラムは、学生たちにとって貴重な経験となり、創造的な考え方を伸ばす大きな一歩となっています。
結びに
新たなテクノロジーがもたらす変化と、ファッションが現在と未来をどのようにつなげていくのか—音が出る布による挑戦は、確かにその一端を照らし出しています。これからの展開に期待が高まります。