開門音楽祭のフィナーレで魅せたROTH BART BARONと石田多朗の共演
2026年5月19日から22日まで、東京のTAKANAWA GATEWAY CITYで開催された「開門音楽祭」は、素晴らしい音楽の饗宴となりました。この音楽フェスティバルは、文化の実験的ミュージアム「MoN Takanawa」の開館を祝うために企画されたもので、伝統と現代音楽が融合する新たなライブ体験を実現しました。
各日、J-WAVEとつながりの深いアーティストたちが出演し、特に5月22日にはROTH BART BARONと石田多朗の初めての共演が実現しました。この日のステージは、独特なフロアレイアウトと会場の期待感が高まり、観客は心待ちにしていました。
まずは、神秘的な雅楽の音色が会場を満たし、ROTH BART BARONの三船雅也が透き通った歌声で柔らかな雰囲気を作ります。和楽器の奏者たちが加わり、彼のボーカルと見事に交わる中、幻想的なアンサンブルが生まれました。「けもののなまえ」の歌唱では、和楽器と現代のサウンドが絶妙に融合し、音は波紋のように広がっていきました。
続いて演奏された楽曲は、「000BigBird000」と「Helpa」で、雅楽のアレンジが施され、オリジナルとはひと味違った表情を見せます。「Ambient 1(平穏)」では、広がる響きの中に潜む細やかな美しさが聴き取れ、観客はその繊細さに心を奪われました。
三船はギターを手に、「火魅蟲」と語りかけるように歌い、温かい感情を呼び起こします。この瞬間、彼の歌声が観客の心に深く染み込んでいくのを感じました。彼は続けて、「今回、史上初めてのことをやっています。」と宣言しながら「髑髏と花」を披露。楽琵琶の響きが重なり合い、会場が一体となって沸き立ちました。
この特別なアンサンブルは、古い日本の雅楽に新たな息を吹き込み、見事な化学反応を引き起こしました。何世代にも渡って受け継がれてきた伝統が、現代的な音像と融合することで、全く新しい音楽体験が生まれたのです。
夕暮れ時のオレンジ色の照明に照らされたステージでは、「お遊戯」や実験的な「Gagaku idea 2」、そして雅楽とバンドのアンサンブルが巧みに融合した「みず/うみ」といった楽曲が次々と演奏され、会場は一層の盛り上がりを見せました。古典的な旋律が現代のビートと共に立ち上がる様は、圧巻の一言でした。
「太食調抜頭(八多良拍子)」の演奏が始まると、ドラムのビートが融合し、新しい感覚の音楽が生まれます。この瞬間、三船は「楽しんでいますか?」と観客に問いかけ、石田との初共演についての喜びを語りました。
そして、披露された新曲「UTUTU」では、雅楽と彼らの音楽的表現が融合した力強い作品が生まれました。音楽の持つ力強さを感じながら、歓声が響く中でライブはクライマックスへと進みます。
本編のラストは、「極彩|IGL(S)」。自発的に生まれたクラップが、会場全体を一つにまとめ上げました。繊細なサウンドが鳴り響く中、三船はギターを掲げてパフォーマンスを締めくくりました。
アンコールでは再度ROTH BART BARONがステージに戻り、三船が石田を呼び込みます。石田は、「すごく良かったけど、言葉では表現が難しい」と賛辞を送ります。その言葉に応え、三船は「永遠の曲を最後に」と言い、感動的なラストナンバー「千の春」を歌い上げました。特別な一夜は、温かい余韻を残しながら幕を閉じました。
この4日間にわたる『開門音楽祭』は、多くの観客にとって忘れがたい経験となり、文化の実験的ミュージアム「MoN Takanawa」がこの祭りを通じて新しい音楽の可能性を示したことは間違いありません。
(文:笹谷淳介、写真:渡邉隼)