カラオケ業界が環境問題の解決に向けて動き出す!
2025年に向けて、日本のカラオケ業界が一歩踏み出しました。株式会社第一興商は、日揮ホールディングス、レボインターナショナル、サファイア・スカイ・エナジーと共に、カラオケボックスと飲食店舗で発生する廃食用油を、国産の持続可能な航空燃料SAF(Sustainable Aviation Fuel)の製造原料として利用するための基本合意書を締結しました。
「Fry to Fly Project」とは?
このプロジェクト、「Fry to Fly Project」は廃食用油を航空燃料に変換する取り組みで、日揮HDが提唱・事務局を務めています。このプロジェクトの目的は、国産SAFの安定供給を実現し、脱炭素社会を目指すことです。第一興商が本プロジェクトに参加することで、カラオケ業界全体が環境問題に対する意識を高め、より持続可能な社会を築くための力を尽くします。
廃食用油の再利用の新しい形
これまで、第一興商はカラオケボックスを含む700以上の飲食店舗で発生した廃食用油を、家畜用飼料やバイオディーゼル燃料などさまざまな用途に再利用してきました。しかし、今回の合意により、廃食用油がSAFの原料として活用されることは国内でも初めての試みです。まずは、直営のビッグエコー224店と飲食店143店でこの取り組みを始め、徐々にグループ全体に広げていく予定です。
各社の役割
このプロジェクトでは、以下のように各社の役割が設定されています。
- - 第一興商: 廃食用油をレボインターナショナルに提供。
- - レボインターナショナル: 廃食用油をサファイア・スカイ・エナジーのSAF製造装置向けに引き渡す。
- - サファイア・スカイ・エナジー: 国産SAFを製造する。
- - 日揮HD: プロジェクトを主導し、廃食用油からのSAF製造を進める。
このように、各社が連携することで、安定的なSAFの供給体制を確立していくことが期待されています。
SAFの意義と日本の取り組み
SAFは廃食用油などを原材料とする航空燃料であり、CO2排出量を大幅に削減する可能性があります。航空機は電気や水素などの燃料に簡単に切り替えられないため、SAFの利用が急務とされています。日本では、国土交通省が2030年までに航空会社の燃料使用量の10%をSAFに置き換えるという目標を掲げており、2050年までにはカーボンニュートラルを達成することが期待されています。
しかし、国内では年間で約10万トンの廃食用油が海外に輸出されており、これがSAF製造のための貴重な原材料の流出につながっています。これを解決するための安定的な原料供給の取り組みが、このプロジェクトになります。
期待される新たな波
第一興商が廃食用油を利用することで、カラオケ業界全体の資源利用の意識が高まるとともに、国産SAFの普及が進むことが期待されます。この取り組みが成功すれば、他の業界でも同様の試みが増えることでしょう。環境問題への取り組みが新たな業界のスタンダードとなる日も遠くないかもしれません。
参加する企業が協力し合いながら、国産SAFの製造と安定供給に向けた道筋を作ることは、日本の脱炭素社会実現に向けた重要な一歩です。今後の展開に注目が集まります。