株式会社KADOKAWAがSOZOを傘下に
2025年11月、株式会社KADOKAWAは、シンガポールに本社を置くSOZO Pte Ltdの株式を取得し、子会社とすることを発表しました。SOZOは、東南アジア最大級のアニメイベント「アニメ・フェスティバル・アジア」(以下、AFA)を手掛ける企業であり、日本のポップカルチャーを広めるための中心的な存在となっています。主にアニメ、漫画、音楽などの関連イベントを展開し、各地でのファンの熱狂を牽引してきました。
SOZOの事業内容と「AFA」の影響
SOZOは、2008年から始まった「AFA」を中心に、東南アジアにおける日本のエンターテインメントの拡大に寄与してきました。これまで32回の開催を数え、約300万人が参加。その多くのファンを惹きつける理由は、声優や日本のトップアーティストが出演するステージイベントやトークショー、出展企業の広大なブース展示など、充実したコンテンツにあります。
最近では、昨年の「AFA Singapore 2024」では、3日間で約13万人を動員し、注目を集めました。イベントは、作品関連のグッズ販売やポップアップイベントなど多岐にわたり、アジア地域での日本コンテンツの人気を示しています。
KADOKAWAのグローバル戦略
KADOKAWAは、これまでも東南アジア市場における事業基盤を強化しており、タイ、マレーシア、インドネシア、シンガポールなどに拠点を構えています。これにより、翻訳出版や電子書籍、映画配給など幅広い展開が実現されてきました。「グローバル・メディアミックス with Technology」を基本として、新たなIP(インテリジェント・プロパティ)創出を図って行くとされています。SOZOとの統合によって、リアルイベントやD2C事業の強化が期待されています。
クリエイターとの連携
KADOKAWAとSOZOは、過去10年以上も共同事業を行い、特に「ニコニコ超会議」の海外版を「AFA」と連携させるなど、新たなプロジェクトを立ち上げてきました。SOZOがKADOKAWAグループに加わることで、今後は日本のクリエイターやアーティストがアジア市場で活動する機会が増えるでしょう。さらに、動画プラットフォーム「ニコニコ」での海外公演も進めていく考えです。
経営陣のコメント
SOZOの代表、Shawn Chin氏は、KADOKAWAとの統合が自身の会社にとって大きな喜びであると述べ、強力な協力体制を期待しています。KADOKAWAの夏野社長も、SOZOを迎え入れられることに感謝し、双方の強みを生かしながら、アジアにおけるIP創出や体験提供を推進していく計画を語りました。
今回の統合がどのような新たな展開を生むのか、今後の動向に注目です。これにより、東南アジアにおける日本のコンテンツのプレゼンスはさらに強化されることでしょう。