文化の架け橋を築くミュージカル『アニオー姫』
2026年9月に開幕するミュージカル『アニオー姫』は、KAAT神奈川芸術劇場での初上演を迎える。この作品は、ベトナムの伝説を日本の舞台へと持ち込み、両国の文化交流を視覚化する試みとなっている。「アニオー姫」実行委員会のブレイングループ、ヤマハミュージックベトナム、NPO国際交流促進協議会の協力により進行されている。
オーディションで栄えあるタイトルロールを獲得したのは、ベトナム人アーティストのドー・ファン・ザ・ハン。彼女はオーディションで素敵な歌声を披露し、その表現力と魅力により審査員から選ばれた。審査を行った総監督の大山大輔氏は、彼女の歌声を「瑞々しさと強さを持った存在感」と評価し、現代のアニオー姫として相応しいと絶賛している。
このミュージカルの物語は、400年前の“大航海時代”に語られるもので、広南国の王女・玉華姫と日本の商人・荒木宗太郎とのひと際ドラマティックな愛の物語が描かれている。彼らは国を越えて運命的に出会い、深い愛を育み、結婚に至った。しかし、彼らの愛は時代の波に翻弄され、濃厚な人間ドラマが展開していく。
ドー・ファン・ザ・ハン密着取材によれば、彼女にとって音楽は人生の根幹を成すものであり、3歳から独学でオペラに親しみ、数多くの音楽コンクールでの演奏を経て着実に成長を遂げてきた。特に、2022年にミュージカル『不思議の国のアリス』で正式デビューを果たした後、シンガポールのアジア芸術フェスティバルでは奨励賞を獲得。音楽への情熱を持ち続けている彼女は、ベトナム国立音楽院に進学し、声楽を学び続けている。
本ミュージカルの制作発表は、2025年11月5日に日本側で行われ、続いて14日に在ハノイ日本国大使館でベトナム側のレセプションが開催された。このオーディションは、ベトナムと日本をすぐに結ぶ次世代の舞台芸術交流を目指し、参加者たちにとって貴重な経験となった。このような文化的な取り組みは、両国の芸術家が互いに学び合う絶好のチャンスでもある。
キャストには、田代万里生や小野田龍之介といった多彩な顔ぶれが揃い、各方面から注目されている。このミュージカルは、音楽や舞台美術の質も高く、オーケストラには神奈川フィルハーモニー管弦楽団が参加するなど、多彩なアーティストが関わることが予定されている。
2026年9月11日から28日までの公演が予定されており、チケットの一般発売は同年5月から始まる。公式サイトでも詳細情報が更新されており、多くの音楽ファンやミュージカル愛好家の注目を集めている。音楽と文化を融合させた重要な作品となることは間違いなしだ。
この舞台を通じて、音楽が持つ力と人々を繋げるメッセージが届けられることを期待している。オーディションを勝ち抜いたドー・ファン・ザ・ハンが果たす役割は、今後の文化交流においても大きな意義を持つだろう。彼女の成長と活躍に注目が集まる。