Sonos、AI搭載の新機能で音声明瞭化を実現
米国を拠点とするオーディオブランド、Sonosが新たに登場させるスピーチエンハンスメント機能は、聴覚に課題を抱える方々と共に開発されたものです。この革新的な機能は、最新のプレミアムサウンドバー「Sonos Arc Ultra」に標準装備されており、2025年5月13日(火)から無料のソフトウェアアップデートを通じて提供されます。
聴覚サポートの新技術
スピーチエンハンスメント機能は、テレビや映画のセリフが聞き取りにくいという問題に立ち向かうために設計されています。現代の映像コンテンツでは、制作スケジュールの影響や音響ミキシングの技術的な課題、異なるアクセントなどが原因でセリフが聞き取りづらくなることがあります。特に聴覚に課題のある方々にとって、音量を上げるだけでは解決にならないケースが多く、字幕に頼ることで視覚的な体験が損なわれることもあります。
そこで、SonosはAIを用いてリアルタイムでセリフを抽出し、全体の音響バランスを崩さずに明瞭性を向上させる新しい方法を開発しました。ユーザーは、自身の聴覚状況に応じて4段階の音声強調レベルを選択できるため、自由にカスタマイズが可能です。
日常生活を考慮した設計
この機能は、英国の聴覚障害者支援団体RNIDとの共同開発によって実現しました。約1年間にわたり様々な年齢や聴力の異なるテスト参加者を対象に、実際の視聴シナリオで機能の検証が行われました。RNIDの研究者、ローレン・ワード氏によれば、この新機能は聴覚に課題がある人々だけでなく、無自覚な方々にも役立つ可能性を秘めているとのことです。英国では成人の約3人に1人、米国では約4人に1人が何らかの聴力の問題を抱えていると報告されています。
映画音響ミキサーとの連携
Sonosは、アカデミー賞受賞歴を持つ音響ミキサー、クリス・ジェンキンス氏とも協力し、映画制作現場で使われているセリフ抽出技術を家庭用に応用しました。これにより、効果音や音楽を損なうことなく、セリフを明瞭にする体験が実現しました。
「Sonosのスピーチエンハンスメント機能は、現代の多様な映像環境におけるセリフの聞き取りづらさを改善する大きな一歩です」とクリス・ジェンキンス氏は述べています。彼は、AI技術を使用する上で人の感覚や細やかな判断が重要であることを強調しました。
柔軟な音声調整と体験
Sonosアプリのホーム画面には、以下の4つの音声明瞭化設定が用意されています:
- - Low(低): 自然な強調でセリフを引き立てつつ、演出や制作者の意図を尊重
- - Medium(中): セリフの明瞭さを高めつつ周囲の音とのバランスを維持
- - High(高): セリフをより際立たせ、背景音を控えめに
- - Max(最大): セリフを最優先に再生し、全体のダイナミクスを整理
Sonosのエクスペリエンス・エンジニア、ハリー・ジョーンズ氏は、AIの機械学習を用いてセンターチャンネルからリアルタイムでセリフを抽出・明瞭化できる技術が成功したと語ります。「セリフだけを的確に強調しつつ、臨場感あふれる全体の音響体験を維持できることが重要です」と彼は強調しています。
生活スタイルに寄り添うSonos Arc Ultra
Sonos Arc Ultraは、サウンドバーとしての機能だけでなく、日本の生活スタイルにも考慮された設計です。「薄い壁」「大きな音を出しにくい」といった状況にも対応し、世代間の聴力差や在宅ワーク環境における疲労感を軽減します。音を最適化することで、音量を上げずともセリフが明確に聞こえるユニークな体験を提供します。
Sonos Arc Ultraの詳細や他のホームシアター製品については、公式サイトをぜひご覧ください。
Sonosについて
Sonos(Nasdaq:SONO)は、サウンド体験のリーダーとして、マルチルーム対応のワイヤレスホームオーディオソリューションを開発しています。使いやすく、デザイン性にも優れた製品を提供することで、誰もが豊かなオーディオコンテンツを楽しめる世界を目指しています。各種詳細は公式サイト(www.sonos.com)を参照してください。