京都・水尾に集うフランス人アーティストkumaとは
京都に15年在住するフランス人アーティスト、kuma(クマ)。彼は日本が生み出した美しさや詩を、現代の感性を通じて再発見し、その魅力を広めようとしています。「日本を選んだ理由は、そこに "ただいま" を感じるからだ」とkumaは語ります。その深い思いを込めて、音楽、書、出版、そして陶芸という四つの表現方法を通して、日本文化の真髄を探求しています。
四つのプロジェクトの概要
kumaが提案する四つのプロジェクトは、それぞれが独自の形を持ちながらも、全体として過去を振り返るのではなく、現在の日本の美を新たに語りかけるものです。
1. 『日楽吟(にちらくぎん)』日本語版の刊行
まず初めに、kumaは詩集『日楽吟』を日本語版として出版しました。この作品は、日本を愛するフランス人としての視点から書かれた短い詩が集められています。短歌や俳句とは異なるスタイルで、日本の風景や情緒に焦点を当てた言葉が詩的に表現されています。翻訳版には、円空の木彫りを思わせる微笑みを浮かべた日本人のポートレートも添えられ、日本文化の奥深さが伝えられることでしょう。
特設ページ:
日楽吟
2. アルバム『百人一首』:13の愛の歌
次に、kumaが手がけたアルバム『百人一首』では、平安時代の恋歌をテーマにした13のオリジナル楽曲が披露されています。ボサノヴァやシャンソン、さらにはフレンチラップといった多彩なスタイルで構成されており、古き良き日本の言葉が新しいリズムで息を吹き込まれています。彼は和歌を一首ずつではなく、テーマごとにグループ化して表現することで、過去と現在をつなぐ新たな作品を創り上げています。
試聴・歌詞:
百人一首
3. 『和漢朗詠集』書道コンテスト
第三のプロジェクトとして、kumaは『和漢朗詠集』を基にした書道コンテストを京都・水尾にて開催します。この壮麗な古典は、藤原公任によって仮名と漢文で構成され、長きにわたって書道のテキストとして使用されてきました。参加者は好みの一首を選び、自身の手でその響きを表現することが求められます。優勝者には、豪華な賞品として水尾の柚子の木一本分の収穫を贈呈します。
詳細・応募:
和漢朗詠集
会場情報:
会場
4. 「gallery kuma」開廊予定
最後に、旧蔵を改修した「gallery kuma」がまもなく開廊します。このギャラリーでは、kumaが制作した茶道用の茶碗やその他の陶器が展示される予定です。これらの静かな器たちは、手のひらや光と共に、時間の深さを語りかけるでしょう。また、訪問者は愛宕神社へ向かう山道を散策しながら、心静かな時間を過ごすこともできます。
会場紹介:
ギャラリー
結論
このように、kumaの四連作は、現代において日本の伝統と美を再確認する場となっています。日本文化に対する再解釈を試みる中で、彼は今の時代に生きる我々に、過去の響きをどのように受け止めるべきかを問いかけています。それぞれのプロジェクトが新たな光を当て、観る人、聴く人、触れる人に深い感動を提供することを期待しています。