令和6年の能登半島地震からの復興を支援するために、音楽が一役買うことになるとは、多くの人が思いもよらなかったでしょう。この度、株式会社リブランが能登地域の高校に向けて実施する音楽出前授業は、そのひとつの取り組みです。特に石川県立穴水高等学校、七尾高等学校、能登高等学校の生徒たちに、生演奏の魅力をダイレクトに感じてもらうことを目的としています。
この音楽出前授業は、リブランの創立25周年事業として企画され、NPO法人緑のカーテン応援団の活動も背景にあります。特に、被災者の方々を支援するために設置された仮設住宅に緑のカーテンを設ける「仮設住宅×緑のカーテンプロジェクト」は、地元の人々に環境問題を考えさせるとともに、地域に根差した人々の生活を少しでも豊かにすることを目指しています。
各高校の校長たちのコメントからも、この事業の期待とその意義が垣間見えます。穴水高等学校の島崎校長は、生徒たちがボランティア活動に参加した体験が、今回のコンサートにつながった経緯を説明しました。「本格的な芸術に触れる機会が少ない奥能登の生徒たちにとって、音楽への接触は彼らの未来を明るく開けるもの」との期待も寄せています。
七尾高等学校の樋上校長は、音楽と住民の交流の重要性にも言及。住民たちとの交流が生徒たちに元気を与え、逆に生徒たちが住民に笑顔をもたらすという双方向のつながりの大切さを感じたようです。こうした生徒たちと地域社会との小さな交流が、今後さらなる絆を生んでいくことでしょう。
また、能登高等学校の屋敷校長は、地域の祭り文化を踏まえたコメントを発表。生徒たちが日常的に接する伝統音楽とは異なり、プロ演奏家の生演奏を通じた国際的な音楽にも触れることで、新たな価値観を育むことができると述べました。「他国の音楽を知ることで、地元文化の再認識にもつながる」との期待が寄せられました。
出前授業の実施日は、11月18日が穴水高等学校、11月20日が能登高等学校、11月21日が七尾高等学校です。出演アーティストには、伝統音楽と現代音楽を融合させたユニットMAOSHOが予定されており、また、東京音楽大学在学中の若手サクソフォーンカルテットSAXERUSも参加します。これらのアーティストたちは、期待を背負ってステージに立つことでしょう。
今回の出前授業は、単なる音楽の伝達にとどまらず、復興支援や地域の活性化をも目指して行われます。生徒たちがプロの演奏を間近で体感し、楽器や演奏についての解説を受けることで、音楽をより深く理解する機会を得ると同時に、地域交流が生まれることが期待されます。出前授業を通じて、多くの人々に音楽の魅力が広がることを願っています。