ピアニスト角野隼斗による「アップライトピアノ・プロジェクト」
角野隼斗さんが監修する「アップライトピアノ・プロジェクト Piano for Myself」が、2023年の夏から2024年の秋にかけて全国17か所で展開される。このプロジェクトは、音楽を自由に楽しむことを提案し、誰もが演奏できる空間を提供することを目的としている。2025年4月7日、東京のスタインウェイ&サンズで行われた記者発表会では、第Ⅰ期の成果が報告されたほか、第Ⅱ期のプログラム募集も発表された。
音楽の旅の広がり
本プロジェクトは、特別仕様のアップライトピアノを使用し、角野さんが実際にツアーで利用した楽器を通じて、全国各地の地域イベントや音楽祭、さらには寺院での瞑想的な演奏体験など、様々な場所で活動を行っている。これにより、のべ3000名以上の演奏者が参加し、7000名以上の来場者を記録した。
このプロジェクトを進める中で、角野さんは「誰でも自由に弾ける空間」を提供することにこだわり、多様な地域の文化や特性に応じた独自のアイデアが次々と生まれている。ピアノが地域を巡ることで、予期せぬ音楽体験が生まれ、人々の繋がりが深まる様子が見て取れた。
自分のために奏でる音楽
「Piano for Myself」という副題には、自分のために奏でる音楽の大切さを感じる角野さんの強いメッセージが込められている。角野さんが試行錯誤の末に作り上げたアップライトピアノは、優れた音色と共鳴を持ち、演奏者と音楽の間に静かな対話を生み出す。これにより、音楽の価値を再定義し、世代や地域を超えて多くの共感を呼び起こしている。
例えば、東京都の朋優学院高等学校では、生徒たちの提案による音楽祭が開催され、普段ピアノに触れない生徒たちも参加する姿が見られた。彼らの中には、初めて音楽イベントに参加することで新たな友達やコミュニティが生まれたことに驚いた人たちもいた。「音楽は誰かのためだけじゃなく、自分自身の楽しみでもあるんだと実感しました」と語る生徒たちの声は、プロジェクトがもたらすメッセージを象徴している。
地域特性を生かした多彩なプログラム
各地での音楽活動は、それぞれの地域に密着した企画が展開されている。ある主催者は、ジャズフェスティバルやクリスマスイベント、小学生向けのワークショップを開催し、また別の主催者は寺院での演奏や仏像展での即興コラボレーションなど、独自のアイデアを形にしている。イベントを通じて「音楽に触れる機会が少ない人々が集まり、世代を超えた交流を楽しむ場ができた」との声が多数寄せられたことからも、このプロジェクトの意義を感じることができる。
次世代を担う音楽教育の一環として
角野さんがこのプロジェクトを通じて目指しているのは、次世代へ音楽をつなげることである。ピアノの設計が子どもたちにとっての興味を引き、市場で注目されている独特な音色によって、音楽体験への関心を高めている。その姿勢こそが、次世代の音楽教育において重要な役割を担っているのだ。
第Ⅱ期の募集は2025年の6月から開始され、その期間に全国から主催者を募る。興味のある方は、ぜひ公式情報をご覧いただき、地域の音楽文化に貢献する活動に参加してほしい。
音楽を愛するすべての人々に、さらなる感動をもたらす「アップライトピアノ・プロジェクト」は、今後ますます盛り上がりを見せるだろう。