バッハ・コレギウム・ジャパンの新春欧州ツアー
バッハ・コレギウム・ジャパン(BCJ)が、2025年1月に新たな挑戦を迎えます。首席指揮者の鈴木優人が率いるBCJは、フランス、スペイン、ドイツ、オランダの4カ国を舞台に、7都市を巡る欧州ツアーを実施します。このツアーは、鈴木優人にとってBCJを指揮する初の海外公演となる特別なもので、音楽の新たな世代への橋渡しを象徴する重要なステップと位置づけられています。
このツアーのプログラムには、従来のバロック音楽からの脱却としてモーツァルトの作品が中心に据えられています。その中でも特に注目されるのが、鈴木優人が補筆した《レクイエム ニ短調》です。この公演は、モーツァルトの誕生日に合わせた特別な演奏として期待されています。
鈴木優人はこのツアーについて次のようにコメントしています。「《レクイエム》を演奏することは、私にとって非常に光栄であり大きな挑戦です。特に、マドリードとバルセロナでの父・鈴木雅明との共演は、世代を超えた音楽の旅を象徴する特別な体験になると思います。モーツァルトの偉大な音楽を、ヨーロッパの皆様に直接届けられればと思います。」
補筆校訂版《レクイエム》の意義
鈴木優人が手がけたこの補筆校訂版の《レクイエム》は、1960年に発見されたフーガの断片を取り入れており、新たな解釈の可能性を探求しています。この版は2014年に鈴木雅明とBCJによって録音され、英国の音楽雑誌BBCミュージックマガジンから高く評価されるなど、整った演奏として4つ星を獲得しました。また、グラモフォン誌からも称賛され、「このディスク全体が傑作であり、《レクイエム》のピリオド楽器演奏における基準となる」と評されました。
優人はこの版について「私の補筆校訂版は《レクイエム》の最終形を目指したものではなく、演奏史に新たな選択肢を提案するものです。このツアーを通じて多くの聴衆にこの版を紹介できることを嬉しく思います。」とコメントしています。
ツアーを彩るソリストたち
今回のツアーには、2024年の欧州ツアーでも共演したソプラノのキャロリン・サンプソンをはじめ、以下の著名な歌手たちが参加します。
- - アルト:マリアンネ・ベアーテ・キーラント
- - テノール:吉田志門
- - バス:ドミニク・ヴェルナー(1月21日〜24日)/クリスティアン・イムラー(1月30日〜2月1日)
特に吉田志門とクリスティアン・イムラーは、両方のツアーで高評価を得ており、注目を浴びています。
特別な公演会場
欧州ツアーのハイライトの一つは、パリ・フィルハーモニーでの再公演です。昨年11月に完売したことを受け、再度の公演が計画されています。さらに、鈴木優人にとって特別な意義を持つオランダでの公演も含まれており、オランダ・デン・ハーグで生まれた鈴木にとって非常に感慨深いものとなります。
BCJは35周年を迎え、特別な年の幕開けとしてこのツアーが注目されています。音楽ファンはぜひ、日本の古楽界を牽引するバッハ・コレギウム・ジャパンの公演を見逃さないでください。あらゆるメディアが注目する中、彼らの音楽がどのように響くのか、期待が高まります。
ツアースケジュール
- - 1月21日 - パリ(フランス)
- - 1月22日 - マドリッド(スペイン)
- - 1月23日 - バルセロナ(スペイン)
- - 1月24日 - トゥールーズ(フランス)
- - 1月30日 - フローニンゲン(オランダ)
- - 1月31日 - デュッセルドルフ(ドイツ)
- - 2月1日 - デン・ハーグ(オランダ)
*このプログラムの前半は鈴木優人、後半は鈴木雅明が指揮いたします。
ツアープログラム
- - モーツァルト:交響曲第40番 ト短調 K. 550
- - 《レクイエム ニ短調》K. 626 鈴木優人補筆校訂版
- - アヴェ・ヴェルム・コルプス ニ長調 K. 618
この年の公演がいかに特別なものであるか、一層の期待が集まる中で、バッハ・コレギウム・ジャパンの活動に目を向け続けていきたいと思います。